日日是好日

多発性硬化症とお付き合いしていく、猫好きワーカーの記録

2017年2月:治療を始めることに

2月上旬、定期通院の前にMRIを撮った。

日常は何事もなく穏やかに過ぎていき、このまま終息したりしないかなぁ、と暢気に考え始めていたのだけれど・・・

なんと、まさかの再発発覚!

8月に撮ったMRIでは影も形もなかった白い影が、くっきりと。自覚症状が全くないことを考えると、無症候性のものなのだろう。

初発が2015年6月、その年の12月に再発していて、そこから1年2カ月で再び再発。これはさすがに治療を始めた方がいいね、ということになった。

 

幸いなことに、前年末にテクフィデラの製造販売承認が厚生労働省から下りていたので、あとは販売を待つだけとなっていた。

ただ、販売が決まったからといって、すぐに使えるようになるわけではないのだ。

病院で新しく薬剤を導入するためには、院内で然るべき手続きを踏む必要があるそうで。

そして、その手続きは(当然ですが)1週間や半月で完了するようなものではなく。

これから申請をしたとしても、処方できるようになるのは恐らく、春になるだろうという話。

ということで、主治医からはテクフィデラを使うってことでいいね?と念押しされた。

せっかく申請したのに、やっぱりやめます!じゃ意味がないからね。

 

さて、私が選んだテクフィデラには重大な副作用がある。

それが、PML(進行性多巣性白質脳症)という病気。「JCウイルス」というウイルスが引き起こす脱髄性疾患(神経を保護しているカバーが壊されてしまう病気。多発性硬化症視神経脊髄炎脱髄性疾患)で、四肢の麻痺や認知機能障害、視覚障害などの症状が現れる。最悪の場合は、植物状態になったり死に至ることも。

JCウイルス自体は7割の方が自然に感染しているもので、普通は悪さをしない。が、免疫が低下すると様々な病気を引き起こす。

そのひとつが、PML。

※PMLについて、詳しくはこちらをご覧ください↓↓

難病情報センター | 進行性多巣性白質脳症(PML)(指定難病25)

(テクフィデラだけではなく、タイサブリやジレニア(イムセラ)の服用でも起こりうるのだけれど)

 

ということで、念のため『JCウイルスの抗体を持っているか』の検査をすることに。

本日検査を済ませて、来月の診察で検査結果を踏まえた最終決定をすることに決まった。

そんなわけで、予定外の血液検査を受けてこの日の通院は終了。

2016年、夏:何事もなく日々は過ぎ行き

セカンドオピニオンの後、8月に撮ったMRIでは全く異常なし。

東北大学に検査を依頼していたMOG抗体は陰性、ついでに抗AQP4抗体も測定してもらっていたのですが、こちらも陰性。

とりあえず、NMOSDと抗MOG抗体疾患のセンは外して良さそうだね、という話になった。

 

そして、今後の治療方法について。

こちらは、このまま定期的にMRIを撮って経過観察にしよう、という意見で一致した。

MRIでも異常なし、自覚症状も(新しいものは)ないとなると、急いで薬を使わなくてもよいかもしれない、ということで。

もちろん、症状が出てからでは遅いから早目に治療を!という考えもあるとは思うけど、この時点で治療を始めないと手遅れになる!という可能性は少ないだろうと考えていた。

今までMRIで見つかった病変は全て無症候性のものだったし、視神経炎に関してもパルスの反応が良く退院後は視力も回復していたので、何か起きてからでも十分間に合うのではないかと。

 

『今後再発したら、テクフィデラを使いたい』という希望も、主治医にしっかり伝える。

この時点では、テクフィデラはまだ厚生労働省の申請を行っているところで、実際に使えるようになる時期は未定の状態で。

「おそらく2016年中には使えるようになるのではないか」という、なんともアバウトな見込みだけ。それでも、使うのであればこの薬からにしたいと思っていた。

似た成分の薬が乾癬の治療薬として長年使用されている、という点で、いくらか安全なのではないだろうかと思ったのがひとつ。

もうひとつは、セカンドオピニオン先で「マイルドな効きめ」「軽症の人には良いかもしれない」という意見をいただいたため。

 

※あくまでも、担当してくださったお医者さま個人の意見です。実際の効果はそこそこ強いですし、副作用で服用を断念した方も多数いらっしゃいます。

 

主治医と今後のすり合わせをしたところで、経過観察スタート。

2016年5月:人生初のセカンドオピニオン

セカンドオピニオンの予約が取れたのは、5月第2週…通院予定日の直前だった、

どうせ自費なら、一番詳しい(であろう)お医者さまにお願いしたいと思い、とある先生を指名してのセカンドオピニオン

MRIの画像や必要書類は事前に病院で用意してもらっていたので、セカンドオピニオンに行く前に郵送で送っておいた。

当日持参するよりもスムーズだと思ったし、セカンドオピニオン先の病院からも事前に送るように指示があったし。

…結論から言えば、当日手持ちでもあまり変わらなかったかも、とは思うけれど。

 

さて、このセカンドオピニオン。当初は自分1人で行くつもりだった。

眼科での初診から入院手続き、MSの告知や治療方針の検討まで全て1人でやってきていたし、今さら親の手を煩わせる必要もないかなと思ったので。

が、実家に「セカンドオピニオンに行くから」と話をしたところ、何故か父親が「僕も行く!」と…予想に反して父と娘、2人で行くことに。

このタイミングになって、どうして?と思ったのが正直なところ。でも、親には親なりの考えや思うところがあったのでしょう。

子の立場としては断る理由もなく、半ば押し切られるような勢いで同行してもらうことになる。

 

セカンドオピニオンでは、家族歴や生活歴、日常生活に関して細々と質問された。

質問されたのは
・親兄弟、祖父母の病歴。特に神経系の疾患がないか?の確認。

→神経系の疾患は、恐らくなかったはず。数年前に父親がベル麻痺になったぐらい。

・服用している薬の有無

→当時、低用量ピルを服用していたのと、頭痛時にロキソニンのお世話になるぐらい。

・睡眠時間

→平均で5~6時間

・結婚歴

→はい、未婚です

・食生活について

→食事の時間は不規則&パンやおにぎりなど炭水化物のみで簡単に済ませることが多い

 肉ばかり食べることはないか?という質問もあった。肉のおかずが多くなりがちな点は否めないけへど、肉好きで肉ばかり食べる、ということはないかと。

 

その後、MRIの画像をパラパラ見ながら、現段階での見解を伺う。

結論としては

1)

現時点ではMSの見立てで良いと思います。

NMOの可能性も否定できないけれど、もしNMOだったとしてもNMOSDという判断になるかと思います。

2)

MSだとしても非常に軽症なので、無理に治療を始める必要はないでしょう。

生活習慣の改善で良くなる人もいるので、まずそこから始めてみては?

様子を見て、症状が進行するようであれば(NMOSDの可能性を考えて)ステロイド投与を検討してもよいかもしれません。

 

3)

念のため、MOG抗体値を測定してみたらどうでしょうか?
ピルはMSの発症要因になっている可能性があるので服用をやめた方がよいでしょう。

 

というお話。

『生活習慣』に関しては、肉食を控える&油物を控えるなどの例を挙げられたけれど、この点はあまり当てはまらない気がする…

しばらく様子を見る、という点は自分のなかでも考えていたことなので納得だったけれど、PMSで辛い時期だったので”ピルの服用を止めるように”と言われたのはちょっと残念だった。

父親が「それ見たことか!」な顔をしていたのも、嫌だったなぁ…

(父親からしたら、自分の娘がピルなぞ飲んでいるのは心外だったのでしょうが)

 

所要時間は1時間。

お医者さまからの質問&こちらの回答で40分以上。

現時点での見立てと、それに対するこちらからの質問で15分くらい。思った以上にあっという間の時間だった。

 

最後に、絶対に聞いておきたかった新薬について。

当時まだ申請中だった『テクフィデラ』に対する所感と見解を伺っておく。

先生が仰るには、フィンゴリモド(イムセラ/ジレニア)ほど効果が強くない反面、効き目がマイルドなので軽症の患者さんにも使いやすいのではないか、とのこと。

 

この頃、主治医からは「治療をするならイムセラかコパキソンの二択」と言われていた。

が、イムセラは今の自分には強すぎるのではないか?という一抹の不安が拭えず、コパキソンは毎日の自己注射、が気になっていたので、別の良い方法がないかと考えていたのだ。

あくまでも1人のお医者さまの見解ではあるものの、この病気の領域で詳しい先生が仰るのであれば、テクフィデラを使う方向で前向きに考えてもよいのかも?と思いつつ帰路につく。

 

 

ちなみに、抗MOG抗体に関しては後日の診察で無事に測定へまわしてもらえることになった。

診察時にセカンドオピニオンの回答書を忘れてきたり、治療法が決まっていないのに特定疾患の申請を出す方向で話をし始めたりと、相変わらず微笑ましい出来事があったのは、内緒。

 

※このブログに記載されているのは、あくまでも1人の多発性硬化症患者の体験談です。

発症の原因は2019年1月の時点で未だ確定に至っていませんし、特定の生活習慣や服薬が発症を誘発するという確定もありません。

また、治療薬に対する考え方は医師それぞれで異なりますし、同じ治療薬を使っていても副作用の出方や効果の強さも異なります。

あくまでも、一患者個人のケースであり、考え方であることをご理解いただければ幸いです。

2016年4月:セカンドオピニオン先を決める

前回(3月)の診察では治療方針どころか(ほぼ)何も決まらなかったわけで・・・今回は最新のMRI結果を見ながら今後の方針を練ることに。

 

MRIの結果…

・脳病変は増えていない。前回のものは薄くなっている。
視床下部病変は確かにNMOに出やすいが、MSでも見られることがある。
他にNMOの特徴に似た病変は見当たらない。
その他の病変はMSらしい形をしている。

 

そして、MRI以外の検査結果から他の疾患の可能性をひとつずつ潰していく。
膠原病、細胞の抗体は異常なし。シェーグレン症候群の可能性は不明(調べていないので)
・抗AQP4抗体も陰性。但し、ELISA法での検査なので、厳密に検査した場合は弱い陽性だった、という可能性はある(※1)。
・抗MOG抗体で陽性反応が出る可能性はある(※2)。

 

※1

抗AQP4抗体の検査方法には『ELISA法』と『Cell-based Assay法』という方法があります。

私が発症した時点では、『ELISA法』は民間の検査会社によって保険適用でできる検査でしたが、『Cell-based Assay法』は特定の大学に検査を依頼しなければなりませんでした。

そのため、最初の血液検査では『ELISA法』での検査を行っています。

ELISA法は精度がやや劣るものの、検査結果が早く入手できるというメリットがあります。

 

※2

MS、NMOと似ているけれども別の病気『抗MOG抗体疾患』があります。

この病気に関してはまだよくわかっていないことが多いのですが、血液検査で『抗MOG抗体』という値を調べることで鑑別ができます。

 

 

さて、可能性がありそうなものを絞り込んだうえで今後の方針としては3つ。
①MSだとみなして治療をスタート
→万が一NMOだった場合、大きい再発に繋がる可能性
②次回の再発まで様子をみる
→次回の再発が大きかった場合のリスク(と、治療しないことでの潜在進行リスク)
セカンドオピニオンを受ける
→国立精神・神経医療センターか東北大の2択
順天堂と女子医大も専門外来があると思ったのだけれど、それよりもこの2箇所をお勧めされた。何故か。

国立精神・神経にも東北大学にも、この分野で有名な先生がいらっしゃる。が、東北大学は流石に遠いので


・国立神経へのセカンドオピニオンで。
・次回診察までに必要書類は整えてもらえる
・次回予約は5月上旬で。

 

ということに。

人生初!のセカンドオピニオン。どうなるのかな?

新年のご挨拶(2019年)

新年おめでとうございます。

2018年、良いことがあった方も

最悪!なことが多かった方も

2019年が光の多い、佳き1年となりますように。

 

私事を振り返れば

昨年は薬の飲み忘れが非常に多かった1年でした。週に3回は飲み忘れていたのでは?と思います。

幸いなことに、バイオジェンさんが服薬アラーム機能付きのスマホアプリをリリースしてくださったおかげで、なんとか飲み忘れを防ぐことに成功しつつあります。

(それでも週1ペースでは飲み忘れが起きているのですが…)

そして、飲み忘れが多かった割には全く再発がない、という非常に幸運な1年でもありました。

服薬していても再発してしまう方がいることを思えば、とても恵まれていると思います。

 

とはいえ、集中力や記憶力が落ちたり…「おや?」と自分でも少し不安になることが増えた実感がありますので、この点はなんとか手を打ちたいところ。

物覚えが悪くなった、忘れっぽくなった、という声は他の患者さんからも聞かれるものの、主治医曰く『MSとは関係ないんじゃないかなー』と。

MRIで何も兆候が出ていない&経過も良いということから恐らく『MSのせいではない』という結論になったのだとは思いますが、日々「あれ?」「おや?」という体験をしている身としては、何とも納得しづらい状況でもあります。

しっかり休息&睡眠をとる、ストレスを溜めすぎない、リマインダーやToDoツールを活用する、など、自分でできる対策を取って頑張るしかないのかなぁ。

 

発症からの経過に関しては、ゆるゆると引き続き更新していきたいと思っています。

なかなかスパスパと記事をUpできないのが悩みどころではありますが、2019年も気長にお付き合いいただけたら、嬉しく思います。

治療方針決ま…らず。

2016年3月上旬。
年末に「自覚症状のない再発」が発覚してから初めての定期通院。
この日、治療方針が決まるはず・・・だった。
 
が。
結局、この日は決まらず。治療方針どころか、何も決まらなかったよ!(笑)
何故そんな結末になったかと言うと・・・
 
"NMOとの鑑別がつけられないから"。
 
11月に撮影したMRIで見つかった病変は、視床下部にあった。
この"視床下部"という位置、NMOで病変が見られることも多いのだそうで
私の場合『病変の特徴はMSっぽいけれど位置はNMOっぽい』という微妙な状態だったわけ。
 
NMO患者にMSの治療薬を使うと悪化することがある。
なので、MSか?NMOか?がハッキリしないうちは、治療薬の選択ができないということになる。
 
・・・ちなみに、主治医は病変の位置を忘れていたのか、コパキソンを導入しようと考えていた模様。大丈夫か、この先生・・・。
 
以下、診察後のメモより抜粋。
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2015年最後の通院:自覚がないけど再発?

12月上旬、2015年最後の定期通院だった。

退院したばかりの頃は、ちょっとした日々の体調不良にも

「もしかして、再発した?!」

とびくびくしていたものだけれど、この頃になると(色々ともやもやすることもありつつ)特に大きな変化もなく平穏な日常を過ごしていた。

11月末にMRIを撮ってはいたものの、まぁ何事もないだろうと思っていたのだけれど。

 

開口一番、神経内科の主治医は最新のMRI(11月末に撮影したもの)で、病巣が増えていると仰るではないですか!!

 

え、うそ、マジで?

だって、な~んにも自覚症状ないよ?思い当たることなんて皆無だよ?

見間違いじゃないの?

 

半信半疑で画像を覗き込むと、確かに白くぼんやりとした部分が見える。

前回のMRIでも確認されていた病変ではあるけれど、今回のは範囲が広がっているのだそうで。

病変の場所は、脳室の前方。視床下部のあたり。
視床下部は睡眠や自律神経系に関連するらしく

「最近気になることはない?」と訊かれたけれど、当然のように自覚症状はあるわけもなく。

これは再発だね、うん、MSで確定していいと思うよ、と主治医。

 

うわー、マジか~。再発きちゃったかー。

自覚症状も何もないんだけどなぁ。まいったなぁ。

 

そんなこんなでモヤモヤとした気持ちを抱えたまま、主治医との話は”今後の治療法について”にいつの間にか変わっていた。

選択肢は、内服薬のジレニア(イムセラ)か、注射薬のコパキソンの2択、と言われる(※)。

将来の妊娠のことを考えるのであれば、コパキソンの方がまだ安全だろうと。

簡単に決められることでもないので、家族や彼氏とも相談してみてね、ということでこの日の診察は終了。

次の通院は3月。それまでに結論出るのかなー。

 

※本来はインターフェロンβのアボネックス&ベタフェロンも選択肢に入るはずだけれど、インターフェロンβの副作用(抑うつ)を心配した主治医が選択肢から外しています。

副作用としてはそれほど気にすることでもない、という話も聞くのですが、20代の頃に心療内科の通院歴&服薬歴があったことを考慮して、あえて安全策をとっているようです。